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相続放棄したら子供に請求がくる??
江戸川区役所前、遺産相続無料相談室の司法書士福地良章です。
今回は、相続放棄の相談でよく聞かれることについて書きます。
上記の相続関係で、相続人②のお父さん①が亡くなったとします。
相続人②の元に、金融機関から通知書が届きました。
そう、お父さん①は、借金があったのです。
金融機関は債権者としての権限で、亡くなった債務者の戸籍を請求して、相続人を探すことができます。
そして、法定相続人である相続人②に請求をしてきたのです。
このケースでは、借金の金額にもよるでしょうが相続放棄を検討することになると思います。
その際によく質問されることがタイトルの「相続放棄したら子供に請求がくる??」なのです。
結論を申し上げますと、相続放棄をしたら子供には請求はきません。
なぜかというと民法939条に次のような記載があります。
「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」
つまり、相続人②は初めから相続人ではないとみなされるので、当然にその子どもは代襲相続人とはならないのです。
根拠はともかく結論は大事です。
よく、相続放棄をしたら子供に迷惑をかけてしまうのではと心配される方がいらっしゃいます。
この点ではご心配は要りません。
債権者から相続の通知書がきたら、まず司法書士に相談をしてみて下さい。
江戸川区で遺言・相続手続き、相続放棄は司法書士福地事務所 代表 福地良章
法定相続情報で住民票の除票も戸籍の附票も取れなかったときは?
江戸川区役所前、遺産相続無料相談室の司法書士福地良章です。
今回は、法定相続情報証明制度に関する豆知識です。
法定相続情報証明制度は、平成29年5月29日に始まりました。
相続が開始するとまず戸籍をさかのぼって集めます。
その際、戸籍全部事項証明書、除籍謄本、改製原戸籍謄本など多い方だと10枚を超すこともあるくらいに戸籍等を集めなくてはなりません。
しかし、その戸籍等を法務局で1枚にまとめることができるのが、法定相続情報制度です。
その1枚にまとまった紙が「法定相続情報一覧図の写し」(以下「法定相続情報」といいます。)です。
これがあると金融機関で預貯金の相続手続きをするときなどに非常に便利です。
法定相続情報を作成するために必要書類等は法務局のホームページにも書いてあるので、ここでは詳しくは書きません。
今回、ここでお知らせしたいのは、亡くなった方の住民票の除票も戸籍の附票も役所で取れなかった場合にはどうしたらいいのか?ということです。
①「住民票の除票」、「戸籍の附票」が取れない場合って?
亡くなられた方の住民票は、亡くなったことを役所に届けると、生存している人とは別の住民票が作られます。
これを「住民票の除票」といいます。
基本的に役所に行けば取得できます。
しかし、令和元年6月19日までは、この「住民票の除票」は保存期間が、消除された日から5年間とされていたので、相続手続きを後回しにしておくと取得できないこともあり得るのです。
その場合にはどうすればよいのか?
その場合には「戸籍の附票」を取得します。
「戸籍の附票」とは、住民票とは別に「戸籍」に紐づけられた書類で、住民票と同じく、住所の記載のある書類です。
住民票よりも戸籍の方が動かさないことが多いので、「住民票の除票」が取れなくても「戸籍の附票」は取れるということは結構あります。
しかし、「戸籍の附票」の保存期間も消除された日から5年間なので取得できないことがあり得ます。
(余談ですが、「戸籍の改製原附票」という古い証明書を出してくれる役所もあります。5年経過していても一応、窓口で聞いてみる価値はあります。)
②「住民票の除票」、「戸籍の附票」が取れないと法定相続情報は作成できないの?
法務局のホームページには、「被相続人の住民票の除票が市区町村において廃棄されているなどして取得することができない場合は、被相続人の戸籍の附票を用意してください。」とあるだけで、「戸籍の附票」が取得できない場合には触れていません。
では、「戸籍の附票」が取得できない場合には法定相続情報を作成できないのかというと、もちろんそんなことはありません。
確かに「住民票の除票」、「戸籍の附票」が取れないのであれば、亡くなった方の最後の住所地は証明できません。
しかし、亡くなった方を特定する方法は何も住所地だけではありません。
この場合には「最後の本籍」を記載すれば法定相続情報を作成することができます。
具体的には、
最後の住所 東京都〇区〇町〇丁目〇番〇号
出生 昭和〇年〇月〇日
死亡 平成〇年〇月〇日
(被相続人)法務太郎
と書いていたところを、
最後の本籍 東京都〇区〇町〇丁目〇番
出生 昭和〇年〇月〇日
死亡 平成〇年〇月〇日
(被相続人)法務太郎
とすればよいのです。
つまり、「住民票の除票」や「戸籍の附票」が取得できなくても、「戸籍謄本」等で亡くなられた方の最後の本籍が証明できればそれで足りるということです。
戸籍の収集や法定相続情報を作成することは手間がかかりますので、司法書士にご相談いただけるとありがたいです。
江戸川区で遺言・相続手続き、相続放棄は司法書士福地事務所 代表 福地良章
自筆証書遺言保管制度について(遺言書比較ランキング)
江戸川区役所前、遺産相続無料相談室の司法書士福地良章です。
本日、令和2年7月10日から自筆証書遺言保管制度の運用が始まりました。
細かい内容は固定ページの「自筆証書遺言保管制度について(2020年7月10日加筆)」に書いたので、ここではわかりやすい内容にしたいと思っています。
遺言書には、自筆証書遺言(自分で書く)と公正証書遺言(公証役場で作る)の2つあります。(他にも色々とあるのですが、実務上、この2つがほとんどです)
自筆証書遺言保管制度は、自筆証書遺言を法務局で預かってくれるものです。
今回の制度で大きく3つ①自筆証書遺言②自筆証書遺言(保管制度)③公正証書遺言になったと言って良いと思います。
では、どの方式が一番良いのか私の私見ですが比較してランキングを付けたいと思います。
①費用
1位 自筆証書遺言
2位 自筆証書遺言(保管制度)
3位 公正証書遺言
自筆証書遺言は紙とボールペンがあれば作成可能なので作成にはほぼお金がかかりません。
しかし、いざ相続手続となると家庭裁判所へ検認手続が必要になり、印紙800円と150円、それと切手が必要です。
その他、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍と相続人全員の戸籍を取得する必要はあります。これがいくらくらいかは人それぞれなのですが、1万円を超す人は少ないと思います。
自筆証書遺言(保管制度)は法務局に預ける時に3900円、遺言情報請求書を交付してもらう時に1400円が必要です。
その他、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍と相続人全員の戸籍を取得する必要はあります。更に家庭裁判所の検認手続と違って、相続人全員の住民票も必要です。これがいくらくらいかは人それぞれなのですが、やはり1万円を超す人は少ないと思います。
公正証書遺言は、公証人の報酬は内容、遺産の価格によるので何とも言えませんが一般的な家庭の遺言であれば5万円前後かと思います。
その他遺言者の印鑑証明書や、戸籍なんかも少し必要になります。これは相続人全員のものや、出生までの戸籍が必要な訳ではないので、何とも言えませんが3,4000円を超える人は少ないのかと思います。
②安全性
1位 公正証書遺言
2位(僅差)自筆証書遺言(保管制度)
3位 自筆証書遺言
まず、勝手に書き換えられたり、捨てられたり、火事で燃えてしまったりといったリスクは、公正証書遺言と自筆証書遺言(保管制度)はほぼ無いでしょう。そのための制度とも言えますからね。逆に言うと自筆証書遺言は、このリスクが大きいです。
それと遺言者の意思能力が争われた場合ですが、正直に言いますとどれも万全ではありません。しかし、公正証書遺言は、公証人が確認しますので一番、当時の意思能力が認められる可能性が高いかと思います。
次は、自筆証書遺言(保管制度)です。この制度は必ず遺言者が法務局に行かなくてはなりません。そして免許証等の本人確認書類を提示します。その際にどれくらい意思能力があったとされるか、それが裁判で認められるかは今度の判例次第ではありますが、少なくとも本人が法務局に出かけて遺言書を提出したという事実は確認できますので(成りすましはまた別の話)ある程度は意思能力があったと認められるのではないのかなと思っています。
自筆証書遺言は、この点がよく争われます。お勧めできない最大の理由かもしれません。
③作りやすさ
1位 公正証書遺言
2位 自筆証書遺言
3位 自筆証書遺言(保管制度)
自筆証書遺言は何と言っても自筆で書かなくてはいけません。財産の部分は緩和されましたが、それでも本文の自筆は絶対です。
その点、公正証書は書くのは遺言者の名前だけです。
特に高齢者になると字を書く作業は大変です。この違いは大きいと思います。
また、体の調子が悪く動けない場合はどうでしょう?
公正証書遺言は、公証人が自宅や病院にも来てくれます(若干の費用はかかりますが)。
自筆証書遺言はどこでも自分で書けます。
しかし、自筆証書遺言(保管制度)は必ず本人が法務局に行かなくてはいけません。弁護士や司法書士でも代理することはできません。
つまり、元気な人でないと自筆証書遺言(保管制度)を利用するのは難しいのかと思います。
⑤内容
1位 公正証書遺言
2位 自筆証書遺言(保管制度)
3位 自筆証書遺言
法律に定められた様式、つまり「日付・署名・押印」については公正証書遺言の公証役場は当然として、自筆証書遺言(保管制度)の法務局もチェックしてくれます。
しかし、自筆証書遺言は本人が書かなくてはいけないのでこの要件を漏らしてしまうことがあります。この場合には、残念ながら無効な遺言書となってしまいます。私は実際に何枚もの無効な遺言書を見てきています。本当にもったいないです。
具体的な内容が実現可能かどうかは、公証役場は検討してくれます。しかし、法務局は具体的内容に関しては一切関与しません。ここは大きな違いです。
⑤相続時の使いやすさ
1位 公正証書遺言
2位 自筆証書遺言(保管制度)
3位 自筆証書遺言
これは断トツで公正証書遺言です。家庭裁判所の検認手続が不要なことが大きな理由です。
自筆証書遺言(保管制度)も家庭裁判所の検認手続は不要です。しかし、法務局で遺言書情報証明書を請求するためには「遺言者の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍)謄本、相続人全員の戸籍謄本、相続人全員の住民票の写し(作成後3か月以内)、請求人の住民票」が必要となります。これは家庭裁判所の検認手続よりも必要書類としては多いです。ただ、書類さえ揃えれば法務局の手続だけで完結するので、家庭裁判所の検認手続よりは楽だと言えます。
自筆証書遺言は家庭裁判所の検認手続が必要です。日数もかかりますし一番大変です。
⑥相続人への通知
1位 自筆証書遺言(保管制度)
2位 自筆証書遺言
3位 公正証書遺言
自筆証書遺言(保管制度)では、相続人、受遺者、遺言執行者に法務局から通知してくれます。これはこの制度の大きな特徴の一つです。
自筆証書遺言では通知はしませんが、家庭裁判所の検認手続を通じて相続人には家庭裁判所から連絡があります。
公正証書遺言では、公証役場は通知をしません。
ただ、今回の民法改正で遺言執行者の相続人、受遺者への通知義務が明記されました。
つまり、遺言執行者の定めがある場合には法務局で通知してくれる方がありがたいのです。
しかし、遺言執行者の定めもなく、他の相続人に知られたくない場合はどうでしょう?この辺りは議論のあるところかと思います。
では、私のお勧め最終ランキングです
1位 公正証書遺言
2位 自筆証書遺言(保管制度)
3位 自筆証書遺言
やはり公正証書遺言が良いと思います。
特に安全性とスピード感です。
民法改正で、遺言書の効力が絶対ではなくなりました。
詳しくは「遺言執行前に遺産を処分された場合について」に書きましたが、遺言書で外された相続人が一人で相続登記を入れて、その不動産を事情を知らない他人に売却した場合には、その他人にこの不動産は遺言によって相続人〇〇が貰ったんだと言えなくなってしまったのです。
どの遺言の方式が良いかは、もちろん、遺言書の内容にもよります。
自筆証書遺言(保管制度)で充分なケースもたくさんあります。
遺言書を作成する際には、一度司法書士にご相談して頂けたら幸いです。
江戸川区で遺言・相続手続き、相続放棄は司法書士福地事務所 代表 福地良章
相続法改正「配偶者居住権」が始まりました。
本日、令和2年4月1日に民法の改正法が施行されました。
120年ぶりの大改正とも言われています。
相続法も債権法も大きく変わっていますが、相続法では、配偶者居住権の新設が一番大きな変更です。
配偶者居住権の詳細については以前割と細かく書いていますのでそちらを参考にして下さい。
ここでは、配偶者居住権が有効になる日付について書きたいと思います。
まず、配偶者が亡くなった日付 令和2年4月1日以降
これはある意味、施行日以降なので当然かと思います。
では、令和2年4月1日より前に作成した遺言書等では配偶者居住権は効力がないのでしょうか?
結論としては、遺言書作成日、遺産分割した日、いずれも令和2年4月1日以降でなくてはなりません。
もう1つ大事なことがあります。
配偶者居住権は登記をしないと第三者に対抗できません。
わかりやすく説明します。
ご主人が亡くなって、奥さまと長男の2人のみが相続人の場合で考えてみて下さい。
自宅を長男が相続し、奥さまが配偶者居住権を取得しました。
奥さまは長年、ご主人と暮らしてきた自宅を名義こそ長男に譲ったけれども、配偶者居住権があるのでずっと住み続けられるはずでした。
そういう制度なのですから。
しかし、奥さまは配偶者居住権を登記することを忘れていました。
そうこうしているうちに、長男がお金に困って第三者に自宅を売ってしまいました。
そして、その第三者は所有権の登記を取得してしまいました。
でも、配偶者居住権があるのだからずっと住み続けられるのでは?
と考えるかもしれません。
しかし、このケースでは原則、奥さまは自宅を購入した第三者に請求されたら自宅を出て行かなくてはなりません。
なぜでしょうか?
それは登記をしていなかったからです。
登記には権利を第三者に主張することができるという効力があります。
奥さまは登記を怠ってしまったので、新しく購入した第三者に主張できないのです。
せっかく遺言書や遺産分割で配偶者居住権を定めても登記をしないと権利を失うかもしれません。
司法書士は登記の専門家です。
配偶者居住権を含む相続の相談もお待ちしております。
江戸川区で遺言・相続手続き、相続放棄は司法書士福地事務所 代表 福地良章
数次相続(すうじそうぞく)と代襲相続(だいしゅうそうぞく)の違い
今回は相続が発生する順番によって手続きが代わってくる「数次相続(すうじそうぞく)、代襲相続(だいしゅうそうぞく)」について書いてみたいと思います。
家族関係は、
おじいさん、おばあさん
お父さん、お母さん
息子、娘
です。
(イラストを見ると息子、娘は未成年に見えますが、今回はそこは考えずに成年に達していると考えて下さい。未成年の場合には特別代理人を選任する必要が出てきます。特別代理人についてはまたの機会に書きます。)
「数次相続」
まず最初におじいさんが亡くなって、その1年後にお父さんが亡くなった場合でご説明します。
順番は①おじいさん死亡、②お父さん死亡です。
割とよくある相続形態かと思います。
しかし、少し普通ではないのは、①おじいさんが死亡して、②お父さんが死亡するまで、おじいさんの相続手続きを行っていないという点です。
おじいさんの本来の法定相続人は、配偶者であるおばあさんと、子であるお父さんで法定相続分はそれぞれ2分の1ずつです。
お父さんが存命であれば、おじいさんの相続手続きは法定相続人である、おばあさんとお父さんが行います。
しかし、お父さんが既に亡くなってしまったので、お父さんの相続人の立場でお母さん、息子、娘が相続手続きを行います。
つまり、遺産分割協議は、おばあさん、お母さん、息子、娘の4人で行うこととなります。
これを数次相続と言います。
「代襲相続」
先にお父さんが亡くなって、その1年後におじいさんが亡くなった場合でご説明します。
順番は①お父さん死亡、②おじいさん死亡です。
数はあまり多くない相続形態かと思います。
しかし、あまり考えたくはありませんが、こういう相続形態もあり得ます。
①お父さんが亡くなった時点で、おじいさんの法定相続人は、おばあさん、息子、娘の3人です。
法定相続分は、おばあさん4分の2、息子4分の1、娘4分の1です。
ポイントは、お母さんは相続人ではないということです。
よって、遺産分割協議は、おばあさん、息子、娘の3人で行います。
直系相続人が先に亡くなった場合には、さらに下の直系相続人が相続人になるのです。
これを代襲相続と言います。
もし、息子も先に亡くなってしまっていたら、孫が代襲相続人となります。
あくまで縦の関係なので、お母さんは法定相続人とならないのです。
結論としては、死亡する順番が変わっただけで法定相続人が変わってしまうこともあるということです。
比較的簡単な事例でご説明しましたが、実際にはもっと複雑なことが多いです。
そういった場合には、専門家である司法書士、弁護士に相談してみた方が良いと思います。
江戸川区で遺言・相続手続き、相続放棄は司法書士福地事務所 代表 福地良章
権利証をなくしてしまったら?
最近、気が付くとパンのブログばかり書いているので、たまには司法書士らしいブログを書きます(笑)。
「権利証をなくしてしまって、どうしたらよいかわからない」という相談は、定期的に受けます。
その場合、私は「権利証はなくしても大丈夫ですよ。」とお答えしております。
もちろん、ただし…という部分もありますので、これから簡単にご説明します。
①「権利証を盗まれたら勝手に名義変更されてしまう?」
この不安を持たれる方が多いです。
答えとしては、「まず大丈夫」といったところです。
原則的に、不動産の登記の名義変更には、
・権利証(登記識別情報)
・印鑑証明書(発行から3か月以内)
・実印
が必要です。
更に言うと、司法書士が登記に関与する場合には、必ず本人確認と意思確認をします。
原則的に運転免許書等の本人確認書類を拝見します。
つまり権利証だけでは名義変更はできないのです。
②「実印と印鑑証明書も一緒に盗まれた場合は勝手に名義変更されてしまう?」
という不安もあることでしょう。
実際には、「おそらく大丈夫」といったところです。
しかし、権利証、実印、印鑑証明書が揃っていても、司法書士が関与していれば本人確認をしっかりするので、防げる可能性も高いのですが、司法書士の関与がなければ勝手に名義変更されてしまう恐れもあります。
さきほど「ただし…」と表現したのはこのためです。
そうは言っても、これは確実に犯罪ですし、裁判を起こせば通常、登記名義を取り返すことは可能でしょう。
もちろん、裁判は出来るだけ避けたいので、全て盗まれていることがわかったら、
・警察への被害届
・市区町村での実印の廃止
・法務局での不正登記防止申出(権利証の場合)または失効申出(登記識別情報の場合)
をおこなっておいた方がよいでしょう。
③「権利証(登記識別情報)は再発行できるの?」
これはできないです。
逆に言えば、権利証がなくても手続きは可能だからこそ再発行という制度がないとも言えます。
つまり、なくしてしまっても、不動産の売買や、銀行でローンを組んで担保設定をすることは可能です。
権利証がなかった場合に登記をするには、
・印鑑証明書(発行から3か月以内)
・実印
が必要です。
もちろん、司法書士が登記に関与する場合には、必ず本人確認と意思確認をします。
この場合には、司法書士等による本人確認情報の作成、または事前通知という制度を使います。
細かい説明は、また他の機会に致しますが、権利証がなくても、登記は可能ということです。
ただ、実際に権利証が見当たらない場合には焦るでしょうし、不安になるかと思います。
そういった場合でも、お気軽にご相談下さい。
きっと、安心すると思いますよ。
江戸川区で遺言・相続手続き、相続放棄は司法書士福地事務所 代表 福地良章
相続相談の準備(持ち物リスト)
今回は相続相談で持ってきて貰えると助かるものについて書いてみました。
司法書士福地事務所は初回無料で相続相談を受け付けております。
当然、無料ではない司法書士もいますし、税理士さんや弁護士さんは有料相談の方が多いかもしれません。
また、区役所等の無料相談でも30分であったり1時間であったりで時間は決まっているので、出来る限り効率よく相続相談をしたいですよね。
どこに相談しても概ね共通なのですが、私は司法書士なので、相続登記を中心とした相続相談でお話します。
①亡くなった方の「戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」
まずどなたが亡くなったのか、相談にいらした方との関係を確認します。
ちなみに司法書士福地事務所は江戸川区役所のすぐとなりなので、まず事務所に来て頂いてから江戸川区役所で取得して頂いても構いません。
②亡くなった方の「住民票の除票」
亡くなった方の最後の住所地を知りたいためです。
それと本籍地を載せて下さい。
本籍地って覚えていない人の方が多いと思います。
そうなると①の「戸籍」は取れません。
本籍地を申請書に書かないと特定できないからです。
その場合、②「住民票の除票」を本籍地付きで取得すると、「戸籍」の本籍地がわかるので「戸籍」を請求することができるようになります。
①「戸籍」と②「住民票の除票」これって近くの役所で取れるとは限りませんよね。
引っ越して住所を移していないとか、とくに本籍は住所と同じである必要はないので、昔住んでいた遠い場所に本籍があり、忙しくて戸籍を取りになんてとても行けないってことはよくあります。
しかし、そこは心配しないで下さい。
司法書士は相続登記の依頼を受ければ職権で戸籍等をお客さまに代わって取得することができますので。
③相続関係図(できれば欲しいです)
これはそんなに大したものではなく、手書きで家族構成を書いてきてくれると話が早くなります。
もちろん、なくても相談の時にお話を伺って、こちらで手書きしながら説明しますので、絶対に必要という訳ではないです。
ただ、区役所等の相談や有料相談を受ける場合には用意していくと相談時間を有意義に使えます。
④「遺言書」(もしあったなら)
遺言書があるかないかで手続きの内容はかなり変わってきます。
もし、亡くなった方が遺言書を作っていた場合には、お持ち下さい。(封がされている場合には開けないで下さいね。)
⑤「固定資産税納税通知書」
毎年4月くらいに届く固定資産税についての請求書です。
ここに不動産の地番、家屋番号、評価額が書いてあるので相続登記に必要な不動産についての情報がほぼ載っています。(注:固定資産税のかからない道路などが載っていないこともあります。)
不動産で言えば、「登記簿謄本(全部事項証明書)」、「権利証」、「名寄帳」、「評価証明書」などをお持ち頂いたら、なお良いのですが、最初の相談段階であれば「固定資産税納税通知書」をお持ち頂けるだけでも大丈夫です。
⑥その他、相続財産の内容がわかる書類
ざっくりとした書き方になってしまいましたが、相続財産に含まれるかなと思われる書類をお持ち頂けると助かります。
例えば、
預貯金なら、通帳のコピー、残高証明書
有価証券なら、証券会社からの報告書
生命保険なら、保険証券、保険会社からの報告書
葬儀費用なら、葬儀会社等からの領収書
などです。
時間が限られた相談や有料相談の場合は、これらの情報を紙にまとめて書き出して行った方が良いと思います。
一つ一つ検討しているとあっという間に相談時間が過ぎてしまいますので。
いかがでしょうか、相談は限られた時間の中で様々な状況を想定しながら行うので、正確な情報があれば、より具体的な提案ができます。
何を持って行ってよいかわからないという方は、相続や財産に関係しそうな書類を全部持ってきて貰って構いません。
少なくとも、司法書士福地事務所は初回無料で、次の予約が入っていない限り時間制限は設けておりません。
例え手ぶらで来て頂いても歓迎致します。
お気軽にお越しください。
江戸川区で遺言・相続手続き、相続放棄は司法書士福地事務所 代表 福地良章
兄弟同士で養子縁組って出来るの?
先日の相続相談で、こんなことを聞かれました。
「子どもがいなく、両親も既に亡くなっている兄Aさんの相続で、Aさんの奥さんが遺言書の検認申立をしました。
弟であるCさんには家庭裁判所から通知がきたんだけど、同じ兄弟である私Bには家庭裁判所から通知がないのだけれど、そんなことってありますか?」
ちょっとわかりづらいんで整理します。
・お子さん、ご両親のいない人が亡くなった場合の法定相続人は、「配偶者」と「兄弟姉妹」です(第三順位の相続)。
・この場合の法定相続人は、「亡Aさんの奥さん」「亡Aさんの兄弟Bさん」「亡Aさんの兄弟Cさん」
・検認の申立をした場合には、法定相続人全員に家庭裁判所から通知が届きます。
でも、おかしいです。
通知が届いたのは、「亡Aさんの奥さん」と「亡Aさんの兄弟Cさん」だけです。
どうしてBさんには通知がなかったのでしょうか。
私は最初、家庭裁判所のミスあるいは郵便事故なのかなとも思いましたが、よくよく話を伺うと、亡Aさんには跡取りがいなかったから、Cさんを養子にしていたそうなのです。
そう、このケースの法定相続人は、「亡Aさんの奥さん」と「亡Aさんの養子Cさん」だけだったのです(第一順位の相続)。
いわゆる普通の、夫が亡くなって、奥さんと子どもが相続するのと同じケースです。
つまり、Bさんは法定相続人ではなかったので、家庭裁判所から通知がなかったという訳だったのです。
ここでもう一つの疑問が「兄弟同士で養子縁組って出来るの?」です。(ようやくタイトル笑)
今回のケースでは兄が弟を養子に迎えるって話ですが、結論としては、養子縁組をすることが出来ます。
民法では、養子縁組の条件が書いてあって、それに反しなければ養子縁組が出来るのです。
では、ザックリと、でもちょっと具体的に見てみましょう。
①民法792条「成年に達した者は、養子をすることができる。」
Aさんが20歳になっていれば条件クリアです。
ちなみに、2022年4月1日に成人年齢を18歳に引き下げる民法改正が施行されます。
じゃあ、2022年4月1日以降は18歳でいいのかというと、実は養親になる資格は20歳のままなんです。
更に余談ですが、絶対に18歳では養親になれないかというとそんなこともありません。
18歳でも結婚をしていれば「成年擬制」というものが働いて、成年に達したとみなされるので養親になることが出来ます(民法753条)。
②民法793条「尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。」
つまり、兄が弟を養子に迎えることはOK、弟が兄を養子に迎えることはNGという意味です。
③民法794条「後見人が被後見人を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。以下略」
ちょっとレアケースなので説明は割愛しますが、成年後見制度を利用している場合には簡単には養子縁組出来ないということです。
④民法795条「配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。以下略」
結婚しているなら、未成年者を養子に迎えるのに片方だけじゃダメですよってことです。
これは、養子に迎える未成年者の子の幸せを考えて作られている条文だと思います。
養両親に望まれて養子縁組をして欲しいですからね。
⑤民法796条「配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。以下略」
これは④民法795条とどこが違うかというと、未成年に限定していないというとこです。
夫(または妻)が勝手に養子縁組をしたら、相続関係が変わってしまって妻(または夫)の迷惑になる可能性がありますよね。
⑥民法797条1項「養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。」
15歳未満の子は親権者が代わって承諾をすることになります。
「僕は、〇〇君の家の子になるんだ!」と勝手に言っても15歳未満では縁組出来ないということです。
⑦民法798条「未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。」
これも④民法794条と似た趣旨です。
未成年の子が幸せになれるか家庭裁判所がある程度判断しますということです。
ただし書きは、例えばお孫さんを養子に迎えるとか、再婚相手の連れ子を養子に迎えるようなケースです。
そういった場合なら、幸せになる可能性の方が高いので家庭裁判所の許可までは求めないということなのだと思います。
⑧民法799条「第738条及び第739条の規定は、縁組について準用する。」
こういう第〇〇条の規定を準用するって条文が法律を読みづらくさせてますよね。(かといって全部書いていたら六法が今の倍くらい分厚くなっちゃいますが…)
これは何を準用しているかというと婚姻の規定です。
主に届出をする必要があるってことが重要です。
以上、兄が弟を養子に迎えてはいけないという内容の条文はなかったので、出来るという結論になるのです。
どうでしたか。
思ったよりも長い文章になってしまい読みづらかったのではと思います。
法律問題は条文に当てはめることが基本なので、本来、このように条文に当たって判断することが原則なのです。
ちょっとでもその雰囲気を感じて貰えたのなら幸いです。
江戸川区で遺言・相続手続き、相続放棄は司法書士福地事務所 代表 福地良章
年内の不動産登記と固定資産税
12月ですね。
年末といえば、忘年会、クリスマスと言いたいのですが、司法書士業界は不動産登記が集中して忙しい時期なのです。
では、なぜ年末に不動産登記が集中するのでしょうか?
これには固定資産税が関係しています。(業者のノルマ達成のためではないですよ笑)
固定資産税(正確には都市計画税もかかる地域、かからない地域がありますが固定資産税で統一します。)は、毎年1月1日現在の土地、家屋及び償却資産の所有者に対して課税される税金だからなのです。
具体例でお話します。
①令和1年12月25日に不動産をAさんからBさんに売買で所有権移転して12月25日に登記申請しました。
Aさん → Bさん
令和1年12月25日売買
令和1年12月25日登記申請
この場合の令和2年度の固定資産税の納税義務者はBさんです。
令和2年1月1日時点での登記名義人なので。
②令和1年12月25日に不動産をAさんからBさんに売買で所有権移転して令和2年1月6日に登記申請しました。
Aさん → Bさん
令和1年12月25日売買
令和2年1月6日登記申請
年末は忙しいから、登記申請は年が明けてからやろうって思ったのですかね。
この場合の令和2年度の固定資産税の納税義務者はAさんです。
令和2年1月1日時点では登記申請していないので、登記簿上の所有者はAさんだからです。
新築の建物だったらどうでしょう。
新築建物は表題登記という登記をすることによって初めて登記されます。
③令和1年12月25日に建物をAさんが新築して、令和2年1月6日に表題登記申請しました。
Aさん
令和1年12月25日新築
令和2年1月6日表題登記申請
1月1日の登記簿にはこの建物も所有者も記載されていないのだから、固定資産税は課税されないとも考えられますが、残念ながら課税されます。
これには最高裁での判例があります(最判平成26年9月25日)。
このケースで固定資産税を払わなくてもよいとなると不公平感が出ますよね。
実際には、登記で確認できない場合には、都税事務所が家屋調査を行うことになっています。
少なくとも23区内で行政に隠れて建築確認等の届出をせずに住宅を建てるのは不可能かと思うので、登記をしなくても課税されることになるでしょう。
最後に相続絡みのケースです。
例えば令和1年6月にAさんが亡くなり相続が発生して、令和1年12月にBさんが相続登記をした場合に令和2年度の固定資産税がBさんに課税されることは問題ないでしょう。
1月1日の登記簿には相続人のBさんが載っているのだから。
では、次のケースはどうでしょう。
④令和1年6月にAさんが亡くなり相続が発生したけれども、相続人Xさん、Yさんで遺産分割がまとまらない場合
亡Aさん
令和1年6月死亡により相続発生
法定相続人 Xさん(2分の1)
Yさん(2分の1)
遺産分割が終わっていなければXさんYさんの2分の1ずつの共有状態です。
そうなると行政は困ります、誰に請求していいのか、わからないからです。
だからといって、固定資産税を支払わなくてもいいということになりません。
そもそも、固定資産税は連帯納税義務があります。
行政が相続が発生していることを把握していない場合には、亡Aさん名義での固定資産税の請求がくると思います。
しかし、相続の発生を把握している場合には、法定相続人に相続人代表者を指定して欲しいとの通知がくることが多いでしょう。
相続人代表者を定めたら、その人が不動産を全部相続するかというとそういうことはありません。
不動産をどっちが相続するかは、また別途、遺産分割協議で決めることになります。
いかがでしょうか。
固定資産税は地方税なので市区町村で取扱いが異なることもありますのでご注意下さい。
江戸川区で遺言・相続手続き、相続放棄は司法書士福地事務所 代表 福地良章
遺言書があった場合の遺産分割
今回は相続手続きについてです。
相続が開始したとき、遺言書があるケースはよくあります。
遺言書は亡くなられた方の最後のメッセージであり、このように財産を分けて欲しいという意思です。
しかし、内容は見てみたら「これはちょっと…」と思うような内容である可能性は当然にあります。(そうならないためにも遺言書を書くときには専門家である司法書士に相談して欲しいのです。)
そんなときでも、この遺言書の内容は絶対で遺言書通りに相続手続きをしなくてはいけないのでしょうか。
それとも遺言書の内容とは違う遺産分割をすることはできるのでしょうか。
というのが今回のテーマです。
結論から言いますと遺産分割をすることは可能とされています。
しかし、条件があります。
①遺言書が遺産分割をしてはいけない内容ではないこと。
②相続人全員が遺言書の内容を理解した上で、新たに遺産分割をして相続手続きをおこなうことに同意すること。
③第三者に遺贈する内容ではないこと、あるいは第三者の同意があること。
④遺言執行者が指定されていないこと、あるいは遺言執行者の同意があること。
では、ひとつひとつ解説していきますね。
①遺言書が遺産分割をしてはいけない内容ではないこと。
これはずばり民法第907条に書いてあります。
「共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。」
亡くなった人の意思が「どうしても私の決めたように分けて欲しい。遺産分割は禁止します。」という内容であれば遺産分割はできません。
ここまで強い意思なら仕方ないですね。
②相続人全員が遺言書の内容を理解した上で、新たに遺産分割をして相続手続きをおこなうことに同意すること。
遺産分割はそもそも相続人全員の同意でおこなわなくてはなりません。
さらにこのケースでは遺言書が存在しているので、その遺言書の内容も全員が把握した上での同意が必要です。
例えば、A、B、Cの三人の子供が相続人の場合で、遺言書の内容が「Aに不動産を相続させる」という内容だったとします。
相続財産は不動産がほぼ全てです。
面白くないBとCは、Aに内容を伝えずに「遺言書があるみたいだけど、ABCで話し合って決めよう。3人兄弟で仲良くやろう。」
と言って、Aが応じてしまった場合などです。
Aは、内容を把握していなかったということを証明できれば、遺産分割は無効になる可能性が高いと考えます。
③第三者に遺贈する内容ではないこと、あるいは第三者の同意があること。
遺言書の内容が、相続人ではないXに遺贈するという内容の場合です。
この場合では、さすがにXの同意がなく、相続人だけの同意で遺言書と違う遺産分割ができる感じはしないですよね。
「Xに不動産を遺贈する」という内容であれば、亡くなったと同時にXの所有ということになります。(大判大正5年11月8日)
しかし、民法第986条で「受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも遺贈の放棄をすることができる。」とあるので、Xの同意があれば遺産分割は可能となるのです。
ここで注意が必要なのは包括遺贈の場合です。
包括遺贈とは、例えば「Xに全財産を遺贈する」または「Xに全財産の2分の1を遺贈する」というように、全部または割合で遺贈するものです。
この場合は、民法第990条で「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。」とあるので、Xが財産を取得しないようにするには、相続人と同じように家庭裁判所に相続放棄の申立をする必要がでてきます。
④遺言執行者が指定されていないこと、あるいは遺言執行者の同意があること。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する手続きをする人のことです。
つまり、遺言書の内容と異なる遺産分割をするのだから、当然に遺言執行者の同意が必要ということです。
相続人の一人は遺言執行者になっている場合には、当然に相続人としても同意する訳ですからよいのですが、第三者が遺言執行者となっている場合には簡単ではないかもしれません。
いかがでしたか。
色々と書きましたが、多くの遺言書は亡くなられた方が残された方にとって一番良い方法を考えて作られたものです。
その内容を尊重することも大事ですし、残された相続人にとって一番良い方法が他にもあるのであれば、相続人全員で遺産分割をする方法を取ることも良いかと思います。
亡くなられた方は相続人のこと一番に考えていたはずですから。
江戸川区で遺言・相続手続き、相続放棄は司法書士福地事務所 代表 福地良章
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