3か月の熟慮期間を超えた相続放棄

相続放棄は、相続があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に手続きをしなくてはなりません。この3か月の期間のことを熟慮期間といいます。言葉のとおり、相続を放棄するかじっくり考える期間として定められています。

では、この期間内に相続放棄をおこなわなかった場合にはどうなるかのでしょうか。基本的には相続放棄をすることができなくなります。つまり、借金などのマイナスの遺産を相続することになります。

しかし、基本的と書いたことには民法の条文の「自己のために相続があったことを知った時から三箇月」という表現の解釈に理由があります。これは、死亡日ではなく、亡くなられていたことを実際に知った日から3か月という意味と、プラス、マイナスを含めて遺産があることを認識した日から3か月という意味なのです。

例えば、交流のない親族が1月1日に亡くなられたとします。この方は生前に借金をしていて、マイナスの遺産しかない場合、5月1日に債権者から相続人だから支払って下さいという請求書がきたら支払わなければならないかというと、亡くなられてからは3か月以上経っていますが、相続があったことを知ったのは債権者から請求書が送られてきた5月1日なので、5月1日から3か月間が熟慮期間ということになります。

では、同じようなケースですが、1月1日に亡くなられたけれども、相続財産は何もないと聞いていた場合、3か月以上経過した5月1日に債権者から相続人だから支払って下さいという請求書がきたら支払わなければないかというと、確かに亡くなられたことを知ってから3か月は過ぎていますが、マイナスの遺産があることを知ったのは5月1日なので、5月1日から3か月間が熟慮期間ということになります。

また、法定単純承認というものがあります。

これは、相続があったことを知った時から3か月以内であったとしても、遺産を相続したものとして全部または一部を処分したときは基本的に相続放棄ができなくなります。この場合も、相続が開始したことを知っているか、予想していながらあえて処分したかが問題になります。

現在、裁判所では、熟慮期間を緩やかに解釈する傾向にあります。司法書士が熟慮期間を超えた場合でも相続放棄の申述が受理されるように申述書を作成することにより家庭裁判所に受理される可能性は広がります。

3か月を超えてしまっているからといってあきらめずにご相談下さい。

しかし、原則は知った時から3か月です。3か月を過ぎると相続放棄の申述が受理されない可能性もありますので、なるべく早いご相談をお待ちしております。

 

 

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