亡くなられた方が遺言書を書かれていることがあります。
亡くなられた方のご意思なので、原則的には遺言書に従って相続はおこなわれることになります。
遺言書には公正証書遺言と自筆証書遺言と大きく2つの種類に分かれます。
公正証書遺言の場合ですと、その遺言の内容の実現するまでに特別な手続きはいらないのですが、自筆証書遺言の場合ですと、家庭裁判所の検認という手続きが必要となります。
この家庭裁判所への検認手続きを行わなければならない期間ですが、民法では「相続の開始を知った後、遅滞なく」とありますので、お亡くなりになったことを知ってからすぐに行う必要があります。
遺言書が封筒に入っていて封印されている場合は、封印したまま検認期日に家庭裁判所に提出しなくてはなりません。もし開封してしまった場合は、それだけでは無効になることはありませんが、5万円以下の過料がかかる可能性がありますので、開封しないようにご注意下さい。
・検認申立の流れ
- 検認申立は亡くなられた方の最後の住所地の家庭裁判所に申立てておこないます。家庭裁判所は各市区町村全てにある訳ではないので、管轄は家庭裁判所のホームページをご確認下さい。ちなみに東京には霞が関、立川市、八丈島と大島にあります。
- 家庭裁判所から相続人全員に、家庭裁判所にもよるのですが、だいたい3週間前後の期日を定めた封筒が郵送されてきます。期日は申立人は家庭裁判所と打合せて決めることができます。これは遺言書を検認の期日に家庭裁判所に持っていかなくてはならないので、申立人だけは必ず行く必要があるからです。反対に、申立人ではない相続人は期日に家庭裁判所に行くかどうかは任意です。
- 検認期日に家庭裁判所の職員の立会いのもと遺言書の日付、署名、筆跡等を確認します。ただし、家庭裁判所が検認したら有効な遺言書とお墨付きをもらえる訳ではなく、内容や形式が無効だとしても家庭裁判所は検認をします。もし、内容がおかしい、遺言書を書いた日にはもう遺言書を書くことはできなかったなど無効を主張していくには裁判手続きを踏むことになります。
検認期日に検認証明書を別途、家庭裁判所に発行してもらいます。この検認証明書と遺言書がそろって初めて相続手続きを法務局や金融機関に対しておこなうことができるようになります。
・検認手続きの必要書類
亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本が必要です。
また、相続人全員に検認期日のお知らせを家庭裁判所から送るため、相続人全員の住所を申立書に書く必要があります。住民票を家庭裁判所に提出する必要はありませんが、住所がわからない場合には、住民票や戸籍の附票を市区町村役所から取得して調べる必要がります。
こういった手続きを省略するためにも遺言は公正証書遺言で作成することをお勧め致します。
遺産承継業務をご依頼のお客様には遺言検認手続きサポートも含まれていますのでご安心下さい。