12月ですね。
年末といえば、忘年会、クリスマスと言いたいのですが、司法書士業界は不動産登記が集中して忙しい時期なのです。
では、なぜ年末に不動産登記が集中するのでしょうか?
これには固定資産税が関係しています。(業者のノルマ達成のためではないですよ笑)
固定資産税(正確には都市計画税もかかる地域、かからない地域がありますが固定資産税で統一します。)は、毎年1月1日現在の土地、家屋及び償却資産の所有者に対して課税される税金だからなのです。
具体例でお話します。
①令和1年12月25日に不動産をAさんからBさんに売買で所有権移転して12月25日に登記申請しました。
Aさん → Bさん
令和1年12月25日売買
令和1年12月25日登記申請
この場合の令和2年度の固定資産税の納税義務者はBさんです。
令和2年1月1日時点での登記名義人なので。
②令和1年12月25日に不動産をAさんからBさんに売買で所有権移転して令和2年1月6日に登記申請しました。
Aさん → Bさん
令和1年12月25日売買
令和2年1月6日登記申請
年末は忙しいから、登記申請は年が明けてからやろうって思ったのですかね。
この場合の令和2年度の固定資産税の納税義務者はAさんです。
令和2年1月1日時点では登記申請していないので、登記簿上の所有者はAさんだからです。
新築の建物だったらどうでしょう。
新築建物は表題登記という登記をすることによって初めて登記されます。
③令和1年12月25日に建物をAさんが新築して、令和2年1月6日に表題登記申請しました。
Aさん
令和1年12月25日新築
令和2年1月6日表題登記申請
1月1日の登記簿にはこの建物も所有者も記載されていないのだから、固定資産税は課税されないとも考えられますが、残念ながら課税されます。
これには最高裁での判例があります(最判平成26年9月25日)。
このケースで固定資産税を払わなくてもよいとなると不公平感が出ますよね。
実際には、登記で確認できない場合には、都税事務所が家屋調査を行うことになっています。
少なくとも23区内で行政に隠れて建築確認等の届出をせずに住宅を建てるのは不可能かと思うので、登記をしなくても課税されることになるでしょう。
最後に相続絡みのケースです。
例えば令和1年6月にAさんが亡くなり相続が発生して、令和1年12月にBさんが相続登記をした場合に令和2年度の固定資産税がBさんに課税されることは問題ないでしょう。
1月1日の登記簿には相続人のBさんが載っているのだから。
では、次のケースはどうでしょう。
④令和1年6月にAさんが亡くなり相続が発生したけれども、相続人Xさん、Yさんで遺産分割がまとまらない場合
亡Aさん
令和1年6月死亡により相続発生
法定相続人 Xさん(2分の1)
Yさん(2分の1)
遺産分割が終わっていなければXさんYさんの2分の1ずつの共有状態です。
そうなると行政は困ります、誰に請求していいのか、わからないからです。
だからといって、固定資産税を支払わなくてもいいということになりません。
そもそも、固定資産税は連帯納税義務があります。
行政が相続が発生していることを把握していない場合には、亡Aさん名義での固定資産税の請求がくると思います。
しかし、相続の発生を把握している場合には、法定相続人に相続人代表者を指定して欲しいとの通知がくることが多いでしょう。
相続人代表者を定めたら、その人が不動産を全部相続するかというとそういうことはありません。
不動産をどっちが相続するかは、また別途、遺産分割協議で決めることになります。
いかがでしょうか。
固定資産税は地方税なので市区町村で取扱いが異なることもありますのでご注意下さい。
江戸川区で遺言・相続手続き、相続放棄は司法書士福地事務所 代表 福地良章