少し前になりますが、9月13日付NHK NEWS WEBに紀州のドン・ファン氏こと野崎幸助さんが「全財産を田辺市にキフする」などと生前に書かれた自筆の遺言書を遺しており、田辺市が受け取る方針を固めたという内容の記事が掲載されていました。
その金額は約13億円だそうです。凄い金額ですね。
ここで気になるのは、遺言書で第三者に全額寄付している内容だと、奥さまとご兄弟は1円も受け取れないのか?ということだと思います。
この答えは遺留分という言葉がカギになります。
法定相続人が奥さまとご兄弟の場合、全財産の1/2が遺留分です。
遺留分とは、遺留分権者が請求すると、この場合では全財産を貰った田辺市が渡さなくてはいけない財産のことです。
今回の遺留分は約6憶5000万円です。
では、遺留分権者は誰かと言うと、実は、奥さまのみなのです。そして、奥さまが請求した場合に取得する遺留分の金額は約6憶5000万円です。
つまり、ご兄弟は1円も受け取れないのです。
紀州のドン・ファン氏のケースは特別としても、実はこれって最も遺言書を作った方がいいケースと似ているのです。
そのケースとは、お子さまのいないご夫婦のケースです。
例えば、不動産や預貯金がご主人名義の場合に、遺言書を作らないでご主人が先に亡くなってしまったとします。
その場合の法定相続分は奥さま3/4、ご主人のご兄弟1/4です。
遺言書を作っておかないと、ご主人のご兄弟に法定相続分の1/4の請求を受けた場合には基本的に払わなくてはいけなくなってしまいます。
しかし、「全財産を奥さまに相続させる」という内容の遺言書を遺しておいた場合には、ご兄弟の相続分、遺留分ともに0円です。
そう、ご兄弟は1円も受け取れないのです。
後に残された奥さま、あるいはご主人のためにも、お子さまのいないケースでは遺言書を遺しておいた方が良いと思います。
当事務所では、遺言書のご相談は無料で行っておりますので、お気軽にお問合せ下さい。
江戸川区で遺言・相続手続き、相続放棄は司法書士福地事務所 代表 福地良章