今回は相続が発生する順番によって手続きが代わってくる「数次相続(すうじそうぞく)、代襲相続(だいしゅうそうぞく)」について書いてみたいと思います。
家族関係は、
おじいさん、おばあさん
お父さん、お母さん
息子、娘
です。
(イラストを見ると息子、娘は未成年に見えますが、今回はそこは考えずに成年に達していると考えて下さい。未成年の場合には特別代理人を選任する必要が出てきます。特別代理人についてはまたの機会に書きます。)
「数次相続」
まず最初におじいさんが亡くなって、その1年後にお父さんが亡くなった場合でご説明します。
順番は①おじいさん死亡、②お父さん死亡です。
割とよくある相続形態かと思います。
しかし、少し普通ではないのは、①おじいさんが死亡して、②お父さんが死亡するまで、おじいさんの相続手続きを行っていないという点です。
おじいさんの本来の法定相続人は、配偶者であるおばあさんと、子であるお父さんで法定相続分はそれぞれ2分の1ずつです。
お父さんが存命であれば、おじいさんの相続手続きは法定相続人である、おばあさんとお父さんが行います。
しかし、お父さんが既に亡くなってしまったので、お父さんの相続人の立場でお母さん、息子、娘が相続手続きを行います。
つまり、遺産分割協議は、おばあさん、お母さん、息子、娘の4人で行うこととなります。
これを数次相続と言います。
「代襲相続」
先にお父さんが亡くなって、その1年後におじいさんが亡くなった場合でご説明します。
順番は①お父さん死亡、②おじいさん死亡です。
数はあまり多くない相続形態かと思います。
しかし、あまり考えたくはありませんが、こういう相続形態もあり得ます。
①お父さんが亡くなった時点で、おじいさんの法定相続人は、おばあさん、息子、娘の3人です。
法定相続分は、おばあさん4分の2、息子4分の1、娘4分の1です。
ポイントは、お母さんは相続人ではないということです。
よって、遺産分割協議は、おばあさん、息子、娘の3人で行います。
直系相続人が先に亡くなった場合には、さらに下の直系相続人が相続人になるのです。
これを代襲相続と言います。
もし、息子も先に亡くなってしまっていたら、孫が代襲相続人となります。
あくまで縦の関係なので、お母さんは法定相続人とならないのです。
結論としては、死亡する順番が変わっただけで法定相続人が変わってしまうこともあるということです。
比較的簡単な事例でご説明しましたが、実際にはもっと複雑なことが多いです。
そういった場合には、専門家である司法書士、弁護士に相談してみた方が良いと思います。
江戸川区で遺言・相続手続き、相続放棄は司法書士福地事務所 代表 福地良章